凶区の爪(竹本健治)

凶区の爪 (光文社文庫)

凶区の爪 (光文社文庫)

というわけで、ミステリモードに入るために、まずは竹本健治とか読んでみた。
「キララ、探偵す。」とか「キララ、またも探偵す。」で有名な、竹本健治のだいぶ前の小説です。
……絶対、匣の中の失楽とかゲーム3部作とかウロボロスとか言わないんだからねっ!
というより、これ、牧場智久と武藤類子の初競演だったのか! 読んだあとでびっくり。


伏線というよりも、布石と言う方がぴったりと来るトリックが良いです。
さすがは、天才棋士牧場智久が活躍するだけあります。
で、そうやって、犯人の取った行動を、碁の手として考えていくと、なかなかに面白い。
あのときの行動が、悪手だったんだろうなぁ、とか。
そして、それを見通す智久の「ヨミ」と、美しくも物悲しい投了図。


こんなことを書けば、ミステリの人だって、認めてもらえますか?

[Today's tune]瓦の屋根に雪が降る/eastern youth