九十九十九(舞城王太郎)

九十九十九舞城王太郎)」読了。
なんだか、くるくる回って自己同型で関数はかわらないのに周りの位相がどんどん複雑になっていってと言うか。
結局のところ、小説も探偵もメタだなぁ、という事で。


えーと、個人的にはいわゆる「脱格系」という中では佐藤友哉が一番好きです。
まぁ、三人でまとめられるのが多いけれども、いーちゃんはちょっと系統が違うので今回は置いときます。
で、舞城と佐藤友哉。両者ともいわゆる純文学系にも作品を発表しています。
その点では似ているところがある、と言えるのかもしれません。
しかし、一読すれば分かる通り、似ていながらも全く正反対の小説です。
その反対であるところが、私が舞城よりも佐藤友哉を好む理由な訳です。
いったい何かと言うと、佐藤友哉の方が圧倒的に「弱い」訳です。
いや、人間的に弱いという訳じゃなく、弱い人の小説な訳です。
はっきりと言って、舞城の小説は強すぎるんですよね。
自分は駄目人間なのでその強さについていけないのです。
例えば、九十九十九の中での台詞「苦しさを感じるなら、僕なんて愛さなくていいんだ」。
これは佐藤友哉の小説では絶対に出てこないんじゃないだろうか、と思います。


さて、何やら舞城王太郎芥川賞にノミネートされたそうで。良いのかなぁ、と。
今はそういう系の雑誌にも書いてるけど、メフィスト賞出身だよ? と。
エンターテインメイント系は直木賞じゃなかったっけ? と思ったり。
そこらへんのところはどうだって良いんですが、あれですよ、舞城ってメフィスト賞の他にも三島賞とかとったりしてるんじゃないですか。
で、ですね、そんなにもらってるならもう良いだろうと。
舞城にやるなら、ユヤタンにもお願いします。
……もし舞城が芥川賞を取ったとします。
もちろん、舞城の小説のコーナーが書店にできる訳です。
書店によっては、メフィスト賞、脱格系のコーナーまでできる可能性がある訳で。
もし、もしそうなった場合は、ユヤタンの小説が店頭に並ぶ訳です。
場合によっては平積みで。
……わーい。

[Today's tune]Dalston/RAZORLIGHT