フラッタ・リンツ・ライフ(森博嗣)

フラッタ・リンツ・ライフ―Flutter into Life (中公文庫)

フラッタ・リンツ・ライフ―Flutter into Life (中公文庫)

ところで、スカイ・クロラの映画が今年の8月公開ということで、今書店で売られているものには、だいたい宣伝の帯が付いているわけだけれど、それが甚だしくよろしくない。とにかく、装丁というものを考える際に、大多数の帯というのは、邪魔者でしかないんじゃなかろうか?
いや、普段なら「まぁ、宣伝だし仕方がないよねー」くらいで華麗にスルーするんだけど、この本──このシリーズにだけは文句を言いたい。
せっかくの装丁が台無しじゃないか!
もう、残念ですよ。


と、思わず書いてしまうくらいに、結構好きです。
いや、なんだかんだ言って、森博嗣って好きなんですよねー。
特に、このシリーズは何となくですが、数学的な感じがして好きです。
思想的に。


それにしても、なんて感想の難しい小説なんだろうか。
言葉にすれば、それはうそとしか思えなくなる。


で、映画化ということで、最近は秋葉原でもスカイ・クロラのシリーズが並んでいたりするんだけど、このシリーズって、難しくない?
森博嗣の小説の中でも、本当に難しい方だと思う。
匹敵するのは、四季シリーズくらい?
いや、最近のは読んでないけど。
とある人に、「普通の小説も読んでみようと思うんだけど、スカイ・クロラってどう?」とか聞かれたこともあるんですけど、普段から小説を読む人に対してでも、簡単に勧められる小説じゃないんですよねー。
ひたすら抽象的で感傷的で冷酷な文章だからなぁ。
少なくとも、普通にラノベしか読まない人には、一体何を読めば良いのかわかんないんじゃないかと。
今年は、とある飛空士への追憶 (ガガガ文庫)が話題になってるけど、同じ飛行機ものであっても、方向性は全く違う。
普通に面白い小説が読みたい、というのなら、きっと「とある飛空士への追憶」の方が良いと思う。
でも、もしただ面白いだけじゃなくて、何か目に見えない、言葉では表せない、その心の片隅にあるものの欠片を掴みたいというのなら、スカイ・クロラのシリーズは読んでみる価値があるんじゃないだろうか。

[Today's tune]澄み渡る空、その向こうに僕がみたもの。/fra-foa