心を空に、星に、大地に映した物語「星を追う子ども/新海誠監督」

連休最終日ということでもないけど、新海誠監督の新作「星を追う子ども」を観てきました。


現代やそれに近い時代を舞台にしてきた新海監督なので、今回の「星を追う子ども」がファンタジーというのを聞いたときは、どうなんだろうか? と不安に思ったりもしましたが、どうやら、それはぼくの杞憂だったみたいです。
ファンタジー──というよりも、ジュブナイル、という感じで、スタジオジブリの作品っぽくごはんを食べるシーンがあったりと、ちょっと微笑ましくもあったりはしたけれど、「風景で登場人物の心情を語らせる」という新海監督の得意技というか、いいところが存分に発揮されている映画だと思います。


広く、豊かな大地を目の前にしたときの、不安な気持ち。
川の流れという止められないものに引き裂かれる別れ。
フィニス・テラの恐怖と、その底に待っていた、星空の希望……
アガルタという場所が、主人公・アスナの心情を、本当にきれいに表現していたと思います。


そして、言葉よりも表情よりも強く、風景が心情をあらわしているから、何かきっかけがあったというわけじゃなくて、気がついたら、泣きそうになってました。
特に、どこが悲しかったとか、そういうのがあったわけじゃないのに……


新海誠監督の作品は、表面的に見ても、作品テーマの希求性、映像の美しさ、などで非常に良いものだと思います。ただ、そのテーマと映像が、複雑に絡み合って、登場人物の心情、想いをあらわしているような部分もあり、何回か見ないとそこに気がつくことができなかったりします。
なので、最初見たときには、なにかよく理由はわからないんだけど、心のどこかが揺さぶられているという、とても不思議な、でも、すごくプリミティブな感動を覚えるんじゃないか、って思うんです。


というわけで、可能であれば、劇場でも何回かは見たい、と思うし、きっと、BDを買うんだろうなぁ、と思ってたりします。

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