子供たち怒る怒る怒る(佐藤友哉)

子供たち怒る怒る怒る

子供たち怒る怒る怒る

ユヤタンのハードカバー。買わないはずもなく。
あ、表題作だけじゃなくて、新潮に書いていた他のやつとか書き下ろしとかもあるんで、みんな買うと良いよ?
ええと、「死体と、」のようなのをユヤタンが書くとは、ちょっと意外だなぁ、と一瞬思ったんですが、よく考えてみれば意外でもないなぁ、と言うか。ここまで詰まっている文章でありながら、舞城王太郎のような圧倒感のようなものがない。きっと、文章の内容に起因しているんだろうなぁ、と。どういうことかというと、まぁ、説明するのも蛇足なような気がしないでもないですが、舞城が押していく文章であるのに比べて、ユヤタンが流されていく文章である、という感じ? まぁ、読めばわかるその違い、と言うことで、みんなユヤタンの本買うと良いよ?
表題作については、確か以前新潮の感想のところで書いたような書かなかったような気がするんで割愛。
お気に入りは「欲望」。ああ、これ、自分が書きたかったことだ、とか。
http://page.freett.com/k_kazuto/TEXTS/novels/novel19.html
これの、「5.薬殺」とか読んでもらえると、何が言いたいかわかっていただけるのでは? と甘い期待を抱いておりますの。まぁ、行動自体は全く逆だったりするわけですが。


ええと、ユヤタンの最近の傾向として、弱い人間が弱いままに戦う、と言うのがあると思うのですよ。タイトルにあるような「怒る」という感情を表現しているというか。それは決して、帯にあるように「たたき尽くせ」という強いものではなく、弱さがこの世の中で「強い」と呼ばれているものを壊し尽くすという感覚で。
強くなければ生きていけない、優しくなければ生きていく資格がない、というチャンドラーのようなものじゃなくて、世の中は強いものが生き残るという村上龍のような主張でもなく、圧倒的に弱いものだからこそできる闘い。
その、弱いものの象徴というのが「子供たち」なんじゃないかなぁ、とか妄想。
で、どうしてこんなに良い本を書くユヤタンメフィスト賞しかとれてないのかなぁ、と思うので、みんなユヤタンの本買うと良いよ?
みんな買えば、きっと芥川賞直木賞かとれると思うので。もしかしたら、ドラマ化とかされちゃうかもしれないしっ。クリテロとか2時間ドラマとか面白いと思うなっ。きっと、次の日はみんな鬱になっちゃって仕事も学校も行かなくなるから電車が空いて良いと思うのですよー。
……まぁ、戯言ですが。