黒い季節（冲方丁）

黒い季節

冲方丁のスニーカー大賞金賞受賞作。
デビュー作には、その作家の全てが凝縮されると言いますが、まさに、その言葉の通りです。
淡々と流れる暴力の奔流。
過剰の向こうに、己の自己同一性が確立されると言うところか？
そして、紡がれる言葉は、物理的にぶつかり来る幻覚か。
全体的に荒削りな感じはするけれど、のちのちマルドゥックへと通じるような、そのような萌芽は確かに感じることができます。
そんなわけで、マルドゥック・ヴェロシティ、マルドゥック・スクランブルを読んで、並々ならぬ刺激を受けた、という人にはお勧めです。


それにしても、どうしてこれをスニーカーに送ったのか？　が非常に謎です。
まぁ、確かに、こういうものを受け止める器は、ラノベ系しかないような気はしますが。
賞を狙って書く、というのではなく、自分の全てを出し切る、ということなのかな、と思いました。


あと、チラシでオイレンシュピーゲルとスプライトシュピーゲルの宣伝があったんですが、アレですね。
どうして冲方丁は、こうもボクのツボをつくのか、小一時間問いつめたいです。
身体の一部を機械にするって言うと、一ジャンルとしてすでに確立した感はありますが、それの決定打になるのかな、と。
連載に目を通してはいないので、いったいどういうものになってるのかわかりませんが。