決壊(下)(平野啓一郎)

決壊 下巻

決壊 下巻

平野啓一郎id:keiichirohirano)の最新長編。
下巻もなんとか読み終わりました。
これは……インパクト、というのではなくて、じくじくとしみ込んでくる影響力と言うか。
簡単に一言で言い表せるものじゃないと思う。


上の終盤でおこった殺人事件。
それは、いやがおうにも最近の殺人事件を思い起こさせるもので。
「犯人」の描き方も、「わざと」このような程度にしているのだと思う。
平野啓一郎は、「身体性」というのを非常に重要にしていると思うんだけど、だからこそ、この犯人の描き方というのは、効果的になっているのではないだろうか?


二つのラインが、はっきりとはわからないながらも近づいて、瞬間、わからないくらいの微かな重なりを見せる。
そして、激しく響く「決壊」へのメロディ。
最終章は、静かに、重々しいまでの破滅へと向かって。


とりあえず、日頃から小説を読んだり書いたりしてる人は、これを読んでおくべきだと思う。
最もエッヂで、最もコアだ。

[Today's tune]Videotape/Radiohead