決壊(下)(平野啓一郎)
- 作者: 平野啓一郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2008/06/26
- メディア: 単行本
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下巻もなんとか読み終わりました。
これは……インパクト、というのではなくて、じくじくとしみ込んでくる影響力と言うか。
簡単に一言で言い表せるものじゃないと思う。
上の終盤でおこった殺人事件。
それは、いやがおうにも最近の殺人事件を思い起こさせるもので。
「犯人」の描き方も、「わざと」このような程度にしているのだと思う。
平野啓一郎は、「身体性」というのを非常に重要にしていると思うんだけど、だからこそ、この犯人の描き方というのは、効果的になっているのではないだろうか?
二つのラインが、はっきりとはわからないながらも近づいて、瞬間、わからないくらいの微かな重なりを見せる。
そして、激しく響く「決壊」へのメロディ。
最終章は、静かに、重々しいまでの破滅へと向かって。
とりあえず、日頃から小説を読んだり書いたりしてる人は、これを読んでおくべきだと思う。
最もエッヂで、最もコアだ。
[Today's tune]Videotape/Radiohead