#空の青さを知る人よ を見てきました #空青

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 いや、あれじゃないですか。
 橋の上であおいがエピフォンのサンダーバードをかき鳴らすシーンだけでもう優勝じゃないですか!
 というわけで、「空の青さを知る人よ」を見てきました。
 冒頭からガッチリ掴まれてしまったわけですけど、秩父の自然とある意味狭さを感じさせるような街の風景とがとてもきれいで、そして、その中で描かれる青春のストーリーというか、もう、とにかく、あおいがめっちゃゴリゴリなベース弾いてるだけで、それだけで100点満点で30000000点くらいにやられてました。

 印象的だったのは、あおいがあかねに突っかかるシーン。
 あそこのあかねの反応というか、表情が、もう、完璧。
 姉妹といえど、完全にはわかりあえないという現実を突きつけつつ、お互いが相手を大切に思っているからこそのすれ違いというか、あんなの絶対にずるいやん……。

 いや、正直ね、音楽とか絶対プロとか無理だよねぇ、とか、そもそもその道を選ばなかった自分のような人間としては、しんのもめっちゃ眩しいというか、今のポジションだって、もう、めっちゃすごいやん! って思うレベルなんですけど、それでも、「空の青さを知る人よ」を弾く時の顔がちょっと複雑な表情があったり、あれですよ、赤いファイヤーバードというのがまた象徴的だし、あおい、それに合わせてサンダーバードだな! というのも、まためっちゃ良い……。

 あとですね、みちんこ親子のキャラがとても良いんですよね。特に、みちんこは落合福嗣さんの演技が素晴らしい。大人の物分かりの良さとか妥協とか、ちょっとしたいやらしさとか知ってるけど、でも、芯のところではあおいとあかねを見守る純粋な暖かさを持っているというような難しいキャラだと思うんですけど、それが存分に感じられる声だったと思います。

 で、個人的には、やっぱり、あおいの方が好きなんですよね。
 あの、慎之介にベースの弾き方とか突っ込まれるシーンがあるじゃないですか。あそこで指摘されてる内容が、もう、全てわかる……! ってなって、とにかく愛おしいんですよ。あかねとの関係とか色々と考えることがぐしゃーってなってて、でも、それしかないからとにかく弾くしかなくて、みたいな荒々しさがよくわかるというか、あおいにとってのベースというのが、自分からあかねを解放する武器であり、でも、その武器はまたあかねの傷のひとつにつながるものであり、でも、この武器はどんなものより最高で一番強い武器であり。
 そう考えると、やっぱり、ここはエピフォンのサンダーバードの四弦というのが最高なんですよ!
 ジャズベだと大人しすぎる、プレベだとパンクに寄りすぎて微妙な心の機微が描ききれず、多弦ベースを使うような器用なことはできない。
 ※あくまで作劇上の視点で、ジャズベでめっちゃゴリゴリなのもできるし、プレベで繊細で流れるようなメロディが弾けるのはもちろんあるけど。
 ※ただ、個人的には多弦ベースはあまり好みではないですけど。

 そして、あかね。
 毎日生活していくということの大変さ、特に、姉妹二人で生きていくことの大変さというのがありつつ、それも十年以上経てばそれなりにリズムというか、慣れもするだろうなぁ、というものを匂わせつつ、慎之介を送っていたシーンとか姉妹二人で寝るシーンで見せたような強さ、したたかさとかは彼女もそれなりに生きてきたんだなぁ、というのを思わせて、それでも一歩踏み外すとどこかへ落ちてしまいそうな空気も漂わせてて、とにかく、あかねの造形が素晴らしかったと思います。
 いや、あんな、太眉メガネのほんわかお姉さん(ただしめっちゃ強い(けど脆いところもある))とか、絶対に素晴らしいに決まってるじゃないですか!

 というよりですね、わかりやすくいうと、あかねが好きとかなんとかいうんじゃなくて、ぶっちゃけた話、あかねみたいになりたいじゃないですか! というより、あかねになりたい! あかねになって、あんな太眉ツンツンジト目な妹の恋を暖かく見守りたいじゃないですか!

 エンドロールのバック。
 みんなが幸せそうで、本当に、本当に良い映画だと思いました。