空ノ鐘の響く惑星で 外伝(渡瀬草一郎)

先ほど、無事全12巻を完結した、「空鐘」の短編集です。
本編では描かれることのなかったキャラクターたちの過去と、そして未来がおさめられています。
ハーミットとシルヴァーナの不器用な愛情を描いた「錬金術師ノ嘆息」。
ライブラスが良いキャラだぜ!
主要キャラの中でも、一、二位を争う「くせ者」、ライナスティの過去を描いた「幻惑ノ剣士」。
いやぁ、まさか、本当にこんな過去があったとは。
そして、そーしさんの小説はじじぃがかっこいいなぁ、と。
冷徹ながらも稚気を持ち合わせた、「食えない男」ベルナルフォンの隻眼に秘められた過去の悲恋を描く「二人ノ結婚式」。
これ、好きだなぁ、と。
最後のほうで、二人で「夢」の結婚式のことを話し合うシーンなんて、涙なくしては読めないですよ。
というより、泣いた。
そして、ここにもいた「不器用」な二人が織りなす「王ト王妃ノ今日ノ頃」。
って、空鐘最萌は、ソフィアという認識で宜しいか?
いくらどじっ娘でもツンデレでもヤンデレでも、夜中忍び込んで暗殺しかけたりしないぞっ! と。そのシーンを想像しただけで、萌えてしまうボクは、きっともうダメなんだと思う。
それと、ここでもじじぃ連中が大活躍(?)。
これら短編の合間に挟まれるのが、シアと、二人の子どもを中心とした、「平和」な日常の風景。
ちゃんと、「カボチャ」も出てくるぜ!
フェリオが、ウルクが、リセリナが、そして、彼らと共に戦った多くの人たちがもたらした「平和」。もちろん、それはただ甘受するだけでなく、自ら「続けていく」という努力が必要だというのは、彼等自身がわかっていることで。という感じなので、垣間見えたので良かったなぁ、と。


そーしさんの小説は、いわゆる「セカイ系」だとか、最近流行(?)のサイコ系と違って、王道真っ直ぐ! な感じなんだけど、それでも、しっかりとしたテーマのようなものが見えるんですよね、と言ったら言い過ぎか。それは、ボクの深読みですか?
とりあえず、「陰陽ノ京」、「パラサイトムーン(寄生月)」、「空ノ鐘の響く惑星で空鐘)」、どれもお薦めのシリーズなので、宜しければ読んでみて下さい。